「トリソミー」という言葉を、検査の説明や検索のなかで目にされた方も多いと思います。ここでは、妊婦さんに向けて、トリソミーの基礎知識をやさしく整理します。
トリソミーとは
トリソミーとは、染色体の数が通常より1本多い状態のことです。人間は通常、23組46本の染色体を持っていますが、トリソミーでは特定の染色体が2本ではなく3本になっています。
主な3つのトリソミー
出生まで生存できるトリソミーは主に3種類あります。
21トリソミー(ダウン症候群)
- 最も多いトリソミーで、約1,000人に1〜2人の割合で生まれます
- 成長がゆっくりで、特徴的な顔立ち、軽度から中等度の知的障害がみられます
- 症状の程度は個人差が大きく、比較的通常の生活を送れる方もいます
18トリソミー
- 2番目に多く、約10,000人に3人の割合で生まれます
- 心臓の病気や様々な臓器の異常を伴うことが多く、生後早期に亡くなることが多いです
13トリソミー
- 3番目に多く、約10,000人に1.35人の割合で生まれます
- 脳や顔の中央部の異常、心臓の病気などを伴い、生後早期に亡くなることが多いです
それぞれの疾患について詳しくは、21トリソミー(ダウン症候群)について詳しく、18トリソミーについて詳しく、13トリソミーについて詳しくをご覧ください。
年齢とトリソミーの関係
トリソミーの赤ちゃんが生まれる確率は、お母さんの年齢が高くなるほど上がります。これは、卵子が作られる過程で染色体がうまく分かれないことが、年齢とともに起こりやすくなるためです。35歳以上になると、その確率はさらに高くなります。
なぜ他の染色体のトリソミーは少ないのか
実は、妊娠初期には他の染色体のトリソミー(例えば16番や22番など)も起こっています。しかし、これらのトリソミーは赤ちゃんの発育に必要な遺伝子のバランスを大きく崩してしまうため、ほとんどが妊娠初期に流産となります。21番、18番、13番の染色体は比較的小さく、遺伝子の数も少ないため、出生まで生存できる可能性があるのです。
NIPTが3種類に限られている理由
NIPT(新型出生前診断)が主に21、18、13トリソミーの3種類に限定されているのには、いくつかの理由があります。
検査の精度の問題
- 21トリソミーの検査精度は非常に高く、陽性的中率(陽性と出た場合に実際にトリソミーである確率)は約92%です
- しかし、18トリソミーでは約66%、13トリソミーでは約37%と低くなります
- 他の染色体異常では、さらに偽陽性(実際には異常がないのに陽性と出ること)が多くなる可能性があります
予後予測の難しさ
- 21、18、13トリソミー以外の染色体異常が見つかった場合、それが赤ちゃんに実際に影響するのか、胎盤だけの異常なのか判断が難しいことがあります
- 症状の重さや予後を正確に予測することが困難で、適切なカウンセリングが難しくなります
臨床的な意義
- 21、18、13トリソミーは出生まで生存する可能性があり、医学的に十分な情報が蓄積されています
- 他の染色体のトリソミーは、ほとんどが妊娠初期に自然流産となるため、検査する臨床的意義が限られています
NIPTが3種類に絞られている理由は、NIPTはなぜ3つの染色体異常だけを調べるのかでも解説しています。
大切なこと
NIPTは非常に精度の高い検査ですが、あくまでも「スクリーニング検査(ふるい分け検査)」です。陽性の結果が出た場合でも、確定診断のためには羊水検査などの確定的検査が必要です。検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、ご夫婦でよく話し合い、医療者と相談しながら決めていくことが大切です。
参考文献
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本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。
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