TRISOMY 21
21トリソミー(ダウン症候群)とは
出生前診断を検討されている方へ|原因・特徴・検査をやさしく解説
INTRODUCTION
ダウン症候群とは
ダウン症候群は、21番染色体が通常2本のところ3本ある(トリソミー21)ことで起こる染色体の状態です。約500人に1人の割合で生まれます。
ダウン症候群の原因の95%は、卵子または精子が作られる際に偶然起こる染色体の分配エラー(不分離)によるもので、遺伝するものではありません。
AGE
年齢とダウン症候群の関係
母体年齢が上がるにつれて、ダウン症候群の赤ちゃんが生まれる確率は高くなります。
年齢別の頻度(目安)
- 20〜24歳:約900人に1人
- 30〜34歳:約320人に1人
- 35〜39歳:約140人に1人
- 40歳以上:約60人に1人
ただし、世界的には、ダウン症候群の赤ちゃんの約6〜7割は35歳未満の母親から生まれています。これは、35歳未満の女性の出産数が全体として多いためです。つまり、高齢になるほど一人ひとりのリスクは高くなりますが、実際の出生数で見ると若い年齢層からの出生が多いという事実があります。
FEATURES
ダウン症候群のある方の特徴と生活
ダウン症候群のある方には、以下のような特徴が見られることがあります。あらわれ方には大きな個人差があります。
身体的特徴
- 顔の平坦な印象、つり上がった目、小さな耳
- 筋肉の緊張が弱い(低緊張)
- 小さな手足、手のひらに一本の横線(猿線)
- 約半数に心臓の構造的な問題
発達と知的能力
- 知的発達の遅れは全員に見られますが、程度は個人差が大きく、多くの場合は軽度から中等度です
- 言葉の発達はゆっくりですが、早期療育により改善が期待できます
- 発達のペースは一人ひとり異なります
健康面
- 甲状腺機能低下症、消化器の問題、視力・聴力の問題などが起こりやすい傾向があります
- 定期的な健康チェックと適切な医療により、多くの問題は管理可能です
生活と寿命
- 医療の進歩により、平均寿命は約60歳まで延びています
- 早期療育(言語療法、作業療法、理学療法)により、長期的な発達が促されます
- 多くの方が学校教育を受け、社会参加をしながら充実した生活を送っています
TESTING
出生前診断の検査方法
出生前診断には主に2つのスクリーニング検査があります。
初期ドック(妊娠初期複合検査)
- 妊娠11〜13週に実施
- 超音波検査(胎児の首の後ろの厚み測定)と母体血液検査を組み合わせます
- ダウン症候群の検出率:約90〜95%
- 偽陽性率(実際にはダウン症候群でないのに陽性と出る確率):約3〜5%(ただし高齢になるほど偽陽性率は高まります)
NIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)
- 妊娠10週以降に実施可能
- 母体の血液中に含まれる胎児由来のDNAを分析します
- ダウン症候群の検出率:99.7%
- 偽陽性率:約0.04〜0.1%(母体年齢は関係ありません)
検査精度の比較:検出率と偽陽性率の観点からは、NIPTの方が初期ドックより優れた性能を示します。NIPTは非常に高い検出率を持ちながら、偽陽性が少ないため、不必要な心配や追加検査を減らすことができます。
重要な注意点
- どちらの検査も「スクリーニング検査」であり、確定診断ではありません
- 陽性の結果が出た場合は、羊水検査などの確定診断が必要です
- 検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、ご夫婦で十分に話し合い、必要に応じて遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします
最後に
出生前診断は、妊娠中の選択肢の一つです。検査を受けるかどうか、結果をどのように考えるかは、一人ひとりの価値観や状況によって異なります。
十分な情報を得た上で、ご自身とご家族にとって最善の選択をしていただくことが大切です。当院では、検査の前後でていねいにサポートします。
参考文献
- Bull MJ, et al. Health Supervision for Children and Adolescents With Down Syndrome. Pediatrics. 2022. Guideline
- Antonarakis SE, et al. Down syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2020. Review
- Mai CT, et al. National population-based estimates for major birth defects, 2010–2014. Birth Defects Res. 2019.
- Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017. SR
本ページは、21トリソミー(ダウン症候群)について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。症状や合併症のあらわれ方には個人差があり、検査の適応や結果の解釈は妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。