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ひろつぐ出生前診断クリニック

WHY WE START EARLY

なぜ妊娠初期から
胎児の心臓を調べるのか

心臓の問題は、遺伝的評価の入口でもある

近年の超音波技術の進歩、特に血流をカラーで可視化するカラードップラーにより、妊娠11〜14週という早い時期から、赤ちゃんの心臓をかなり詳しく評価することが可能になりました。

「妊娠中期に詳しく診てもらえば十分ではないか」と思われる方も多いかと思います。しかし、妊娠初期に心臓を評価することには、中期には代替できない大切な意味があります。

心疾患は「心臓だけの問題」ではない

先天性心疾患は出生児の約1%に見られます。万が一、初期の検査で心疾患の所見が得られた場合、心臓の構造的な評価に加えて、一部のケースでは染色体の異常や遺伝的な背景が関係していることも知られています。心臓の所見は「心臓だけでなく、より広い情報を得るきっかけ」にもなり得ます。

妊娠初期に所見が得られれば、遺伝的な情報を早い段階から整理でき、出産に向けた準備やご家族の方針をサポートすることができます。

NIPTが対象とするのは21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー・13トリソミーの3疾患に限られます。これら3疾患以外の染色体異常(性染色体異常・その他のトリソミー・微細染色体変異など)については、NT肥厚(3.5mm以上)が重要なスクリーニングマーカーとして広く使われてきました。

NTと並んで心疾患の有無もまた、染色体異常スクリーニングの重要なマーカーとなり得ます。妊娠初期に心疾患所見が得られた場合、NTと同様に遺伝的評価を開始する起点とすることができます。先天性心疾患が確認された際に染色体マイクロアレイなどの遺伝的評価を段階的に行うこのアプローチは、近年の国際的なシステマティックレビュー・メタ解析でも検討が進んでいるトレンドです。

染色体の数の異常
(トリソミー・モノソミーなど)
約15%
微細染色体変異
(マイクロアレイで検出)
約5%
単一遺伝子疾患
心疾患のみ / 他の異常も伴う場合
約10% / 約30%
ダウン症候群(21トリソミー) ディジョージ症候群
(22番染色体の一部欠失 — 最多)
カブキ症候群
(KMT2D, KDM6A 遺伝子)
18トリソミー(エドワーズ症候群) ウィリアムズ症候群
(7番染色体の一部欠失)
ヌーナン症候群
(PTPN11 ほか)
13トリソミー(パトウ症候群) ウォルフ・ヒルシュホーン症候群
(4番染色体の一部欠失)
CHARGE症候群
(CHD7 遺伝子)
ターナー症候群(45,X) 1p36欠失症候群 / 1q21重複症候群 原発性繊毛機能不全
(DNAH5, DNAH11 ほか)
三倍体(Triploidy) 猫鳴き症候群
(5番染色体の一部欠失)
アダムス・オリバー症候群
(NOTCH1 遺伝子)
9トリソミー 8p欠失症候群 結節性硬化症
(TSC1, TSC2 遺伝子)
モザイク型トリソミー
(8・16・22番など)
ヤコブセン症候群
(11番染色体の一部欠失)
アラジール症候群 / ホルト・オーラム症候群

Reilly K, et al. Prenat Diagn. 2024;44(6-7):821-831.

なぜ「初期」に見つかることが重要か

中期(18〜22週)で突然見つかった場合
  • 遺伝的評価や各科への相談に使える時間が限られます
  • 検査結果が揃う前に、出産の時期・場所・方針を決めなければならないこともあります
  • ご家族が情報を整理し、納得して考える時間が少なくなります
初期(12〜13週)から評価していた場合
  • 染色体検査・マイクロアレイなどの遺伝的検査を受けるかどうか、十分な時間をかけて考えられます
  • 検査結果が揃った上で、出産場所・医療体制の準備を落ち着いて進められます
  • 出産に向けた準備や今後の方針について、十分な情報をもとにご家族でゆっくり考える時間が生まれます

初期発見から始まる遺伝的評価の流れ

妊娠12〜13週
初期ドックで心疾患所見

心臓の形態・大血管の走行・心機能を初期段階で評価します。重症度の暫定的な判断を行い、その後のフォローアップ計画を立てます。

遺伝的評価の開始
羊水検査(確定診断)・マイクロアレイ

ご希望に応じて、羊水検査による染色体検査やマイクロアレイ解析を段階的にご提案します。検査を受けるかどうかも含め、担当医が丁寧にご説明しながらご一緒に考えます。

より詳しい見通しの把握
心臓の構造 + 遺伝情報 = より正確な理解

心臓の構造的所見に遺伝情報が加わることで、赤ちゃんの状態をより詳しく理解することができます。出産後の医療体制をより適切に準備できるようになります。

意思決定支援
十分な情報のもとでのご家族の選択

十分な情報をもとに、ご家族が落ち着いて考え、選択できる時間をつくることが当院の役割の一つです。どのような選択であっても、ご家族のお気持ちに寄り添いながら支援します。

DOCTOR'S MESSAGE

当院が妊娠初期から心臓を評価している理由は、早期発見そのものだけでなく、「時間を確保すること」にあります。妊娠中期で突然心疾患が見つかると、遺伝的な評価や各科との相談、出産に向けた準備を進める時間が限られてしまうことがあります。初期からの評価は、その時間を生み出すための取り組みです。

なお、妊娠初期の検査で特に問題が見つからない場合でも、妊娠20週前後の中期ドックは必ず受けてください。初期では見つけにくい心臓の異常もあります。初期と中期、それぞれの段階での評価が組み合わさることで、より確かなスクリーニングが実現します。

福田 裕償 / Hirotsugu Fukuda

参考文献

  1. Karim JN, Bradburn E, Roberts N, Papageorghiou AT. First-trimester ultrasound detection of fetal heart anomalies: systematic review and meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022.
  2. Wang H, Lin X, Lyu G, et al. Chromosomal abnormalities in fetuses with congenital heart disease: a meta-analysis. Arch Gynecol Obstet. 2023.
  3. Chang CS, Hong SY, Kim SY, et al. Prevalence of associated extracardiac anomalies in prenatally diagnosed congenital heart diseases. PLoS One. 2021.
  4. Ison HE, Griffin EL, Parrott A, et al. Genetic counseling for congenital heart disease. J Genet Couns. 2022.
  5. Donofrio MT, Moon-Grady AJ, Hornberger LK, et al. Diagnosis and treatment of fetal cardiac disease: a scientific statement from the American Heart Association. Circulation. 2014.
  6. Reilly K, et al. The incremental yield of prenatal exome sequencing over chromosome microarray for congenital heart abnormalities: a systematic review and meta-analysis. Prenat Diagn. 2024;44(6-7):821-831. doi: 10.1002/pd.6581

最終更新日:2026年6月21日

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