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ひろつぐ出生前診断クリニック

PRENATAL DIAGNOSIS

出生前診断で大切なこと

大阪・南森町の専門クリニックが解説

大切なこと 01

染色体とは

染色体は、私たちの体を形成するための設計図です。ヒトは通常46本(23対)の染色体を持ちます。この染色体に異常が起きることを染色体異常症といいます。

染色体異常のなかで最も多いのは、染色体が1本余分に増えてしまう病気(トリソミー)です。頻度の高い順に次の3つが知られています。

最多
21トリソミー ダウン症候群
2番目
18トリソミー エドワーズ症候群
3番目
13トリソミー パトー症候群

これらのトリソミーはお母さんの卵子の年齢と密接な関係があります。加齢とともに卵子内での染色体の分配ミスが増えるため、年齢が上がるほどトリソミーのリスクは高くなります

年齢別リスク計算機

生年月日を入力すると、年齢にもとづく3つのトリソミーの妊娠12週時点の背景リスクを確認できます(体外受精の方は採卵日基準)。

妊娠方法
計算基準年齢:
疾患 12週時点のリスク 確率
21トリソミー(ダウン症候群)
18トリソミー(エドワーズ症候群)
13トリソミー(パトー症候群)

上記は妊娠12週時点の背景リスクです。FMFなど初期スクリーニングソフトが「背景リスク」として表示する値と同じ基準です。出生時リスクはこれより低くなります(T21: 約1/1.4、T18: 約1/7、T13: 約1/5)。

引用文献:Snijders RJM, Sundberg K, Holzgreve W, Henry G, Nicolaides KH. Maternal age- and gestation-specific risk for trisomy 21. Ultrasound Obstet Gynecol. 1999;13:167–170. Table 4(12週列)

大切なこと 02

「染色体の異常」への不安は、全体の一部です

妊娠中、多くの妊婦さんがダウン症などの「染色体異常」を強く心配します。情報があふれ、今は不安がそこに集中しやすい時代です。

ただ実際には、染色体の異常は、赤ちゃんに起こりうる疾患の一部にすぎません。ヨーロッパの大規模な調査では、1歳までに診断された主要な先天的な疾患のうち、染色体異常が占めるのは約15%と報告されています。

主要な先天的な疾患のなかで、染色体異常が占める割合

15% 染色体異常
染色体異常 約15%
その他の構造的な問題など 約85%

出典:Wellesley D, et al. Eur J Hum Genet. 2012;20:521–526. / Feldkamp ML, et al. BMJ. 2017;357:j2249.

※心臓・脳・骨格などの「形(構造)の問題」の多くは、染色体の異常を伴いません。

大切なこと 03

NIPTは極めて高精度ですが範囲は限定的です

NIPT(新型出生前診断)は、医学における大きな進歩です。国際的なメタ解析で、ダウン症(21トリソミー)を感度99.7%・特異度99.96%という非常に高い精度で検出できることが示されています。

ただし、NIPTが主に調べるのは21・18・13トリソミーで、これは染色体異常全体の71%にあたる「一部」です。

赤ちゃんに起こりうる先天的な病気の内訳

先天的な 病気全体
NIPTでわかる染色体異常 約11%
NIPTでわからない染色体異常 約4%
その他の構造的な問題など 約85%

大切なこと01の染色体異常15%のうち、NIPTが対象とする21・18・13トリソミーは約71%。全疾患に占める割合は約11%となります。

つまりNIPTは、赤ちゃんに起こりうる病気全体からみると、主要な3つの染色体疾患を対象とする検査です。染色体異常を伴わない大部分の疾患は、NIPTの範囲の外にあり、見つけることができません。

大切なこと 04

NIPTが見つけられない疾患を、とらえるのが超音波検査です

NIPTが見つけられない疾患――心臓・脳・骨格などの構造的な問題をとらえるために必要なのは、まったく別のツールです。

大切なこと02と同じ「病気全体」を、今度はエコー(超音波)の視点で見てみましょう

先天的な 病気全体
エコー(超音波)でカバーできる可能性がある範囲 約89%
NIPTが高精度で調べる部分 約11%
└ うちNIPTでわからない染色体異常 約4%
その他の構造的な問題など 約85%

外側の帯(エコーでカバーできる可能性がある範囲)は、構造的な問題85%+形に異常を伴う染色体異常4%=約89%。中心のNIPTの11%と合わせると、2つでほぼ全体を見ていることになります。

出典:Wellesley D, et al. Eur J Hum Genet. 2012;20:521–526. / Feldkamp ML, et al. BMJ. 2017;357:j2249.(先天的な病気の内訳)/ Hui L, et al. Prenat Diagn. 2023;43:814–828.(ISPD:NIPT後も超音波には独自の価値があるとする指針)

① NIPTが調べるのは中心の約11%だけ。残りの約89%――心臓・脳・骨格などの体の形(構造)の問題は、エコーで赤ちゃんを直接見て確認します。NIPTだけを受けてエコーを受けないと、この大部分は見逃されてしまいます。

② NIPTでわからない染色体異常(約4%)も、体の形に変化を伴うタイプであれば、エコーで気づくことができます。

+ もう少し詳しく:NIPTが得意な部分も、エコーで“補い合える”理由

③ NIPTが高精度で調べる染色体異常(約11%)も、実は初期ドック(11〜13週のエコー)である程度リスクを評価できます。精度はNIPTに譲りますが、たとえばNIPTが「陰性」でも、結果の精度を左右する赤ちゃん由来のDNA量(fetal fraction)が少なく、やや不安が残るようなとき――初期ドックでも問題が見られなければ、2つの検査を組み合わせて安心感をいっそう高めることができます。

※初期ドックは確定診断ではありません。気になる所見があった場合は、確定検査(絨毛検査・羊水検査)についても担当医がご説明します。

*「カバーできる可能性がある範囲」とは、エコーで確認の対象となる範囲のことです。実際の検出率は、超音波機器や検査者の技術、胎児のサイズ・向き、構造異常のサイズ、妊娠週数、母体の体格など、さまざまな条件によって差が生じます。私たちはベストを目指して努力していますが、すべての構造異常を捉えられるわけではありません。

大切なこと 05

NIPTと超音波を「組み合わせること」が、大きな安心につながります

NIPTは「遺伝学的な安心」を、超音波検査は「解剖学的な安心」を、それぞれもたらします。どちらか一方だけでは、パズルの半分しか見えていません。この2つのアプローチを組み合わせて初めて、「赤ちゃんの健康状態の全体像」が見えてきます。

NIPT遺伝学的な安心初期・中期ドック解剖学的な安心= より確かな安心

国際的な指針(ISPD)も「NIPTを主な検査として選んだ場合でも、11〜13週の超音波を受けることを勧めています」。また最近の研究でも「NIPTが普及する時代においても、精密な初期超音波検査には独自の価値がある」と報告されています。

精密な初期超音波検査は、NIPT単独よりも多くの潜在的な異常を見つけます。超音波検査は引き続き非常に価値のあるスクリーニング方法であり、NIPTと組み合わせて用いるべきです。― Esteves KM, et al. Am J Obstet Gynecol. 2023.(要旨より要約)

2つの検査は、互いの弱点を補い合う「パズルのピース」です

比較する点NIPT(血液検査)胎児超音波検査
見ているもの染色体(DNAの数と配列)体の構造と発育
最大の強みダウン症など特定疾患の高い検出精度全身(心臓・脳・内臓など)の包括的な確認
見つけにくい点染色体異常を伴わない心疾患・形態異常ごく微細な染色体の変化

大切なこと 06

超音波の精度は、「誰が・どんな機器で診るか」で大きく変わります

超音波による異常の検出率は、検者の経験と機器の性能によって大きく変わります。専門家や機器がさまざまな施設を混ぜた平均値はかなり低めに出ますが、経験を積んだ専門施設で高性能の機器を用いると、妊娠初期の段階でも多くの異常を見つけられることが報告されています。

同じ妊娠初期の超音波でも、検出率は施設の専門性で大きく変わります

一般的な施設
(各施設の平均)
約3〜5割
経験豊富な
専門施設
約80%

出典:Buijtendijk MFJ, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2024;CD014715 / Pruthi V, et al. Prenat Diagn. 2023;43:881–888

妊娠初期の超音波で見つける異常の割合は、一般には約3〜5割といわれますが、経験を積んだ専門施設で高性能の機器を用いると約80%まで報告されています。さらに、初期の検査で「異常なし」だったときに実際に問題がなかった確率(陰性的中率)は約94%と高く、心配を抱えた妊婦さんにとって大きな安心につながります。

とりわけ見つけることが難しいのが心臓の異常――なかでも大血管(流出路)の異常です。当院院長が高性能の超音波装置(Voluson Expert 22)に血流を見る技法(SlowflowHD)を組み合わせ、妊娠12〜13週の段階で心臓の流出路の異常を早期にとらえることができないか、1,080例の検討として国際誌に報告しています(PubMed)。

※検出率は、対象となる妊婦さんの背景・赤ちゃんの向き・検査する部位、そして検者の専門性と機器の性能によって変わります。上記の高い数値は専門施設(高リスク妊婦を対象)での報告であり、すべての妊婦さんで同じ結果になるとは限りません。

参考文献

  1. Fukuda H, et al. First-Trimester Detection of Conotruncal Anomalies Using Transabdominal SlowflowHD. J Ultrasound Med. 2026;45:201–207.
  2. Pruthi V, et al. Performance of comprehensive first trimester fetal anatomy assessment. Prenat Diagn. 2023;43(7):881–888.
  3. Buijtendijk MFJ, et al. Diagnostic accuracy of ultrasound screening for fetal structural abnormalities. Cochrane Database Syst Rev. 2024;(5):CD014715.
  4. Hui L, et al. Position statement from ISPD on non-invasive prenatal testing. Prenat Diagn. 2023;43:814–828.
  5. Feldkamp ML, et al. Etiology and clinical presentation of birth defects. BMJ. 2017;357:j2249.
  6. Wellesley D, et al. Rare chromosome abnormalities, prevalence and prenatal diagnosis rates. Eur J Hum Genet. 2012;20:521–526.
  7. Esteves KM, et al. The value of detailed first-trimester ultrasound in the era of NIPT. Am J Obstet Gynecol. 2023;229(3):326.e1–326.e6.

本ページは、出生前検査について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。各々の検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。

大切なこと 07

もし病気が見つかっても、早いほどご両親にとってメリットがあります

「もし病気が見つかったら…」と不安に思われる方も多いですが、妊娠中に把握できることで、ご両親がお子さんにとって最善の選択をするための時間と準備が生まれます。

ご夫婦でゆっくり考える時間ができる

情報を集め、専門家に相談し、ご夫婦で十分に話し合う時間を持つことができます。妊娠が進んでからでは、選択肢が限られることがあります。

専門施設での分娩を計画できる

出生後すぐに治療が必要な病気の場合、あらかじめ専門の医療機関での分娩を計画し、安全な体制を整えることができます。

出生直後からの迅速な治療につながる

心臓病など出生直後の対応が予後に影響する病気では、事前診断があることで生まれた瞬間から適切な治療を開始できます。

心の準備と継続的なサポート

専門の医師・助産師・遺伝カウンセラーと連携しながら、妊娠中から継続的なサポートを受けることができます。

いつ、何を受けるか

NIPTから始めて胎児ドックも早い週数から順番に進めることで、赤ちゃんのご病気リスクを段階的に減らし、妊娠生活をより安心して過ごせるようになります。

  • 妊娠10週頃

    NIPT(新型出生前診断)

    母体から採血するだけで行える安全な検査です。ダウン症・18トリソミー・13トリソミーの3疾患のリスクを高精度で評価します。

    NIPTの詳細はこちら
  • 妊娠12〜13週頃

    初期ドック

    超音波でNT(項部浮腫)などを測定し、染色体疾患のリスク評価と構造異常の確認を行います。NIPTと組み合わせることでより包括的な診断が可能です。

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  • 妊娠14〜17週頃

    早期ドック

    初期ドックを受けられなかった方や、NIPTを受けたが超音波検査をまだ受けていない方におすすめです。主に構造異常を確認します。

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  • 妊娠18〜22週頃

    中期ドック

    赤ちゃんの臓器や骨格がさらに発達しているため、超音波検査によって構造異常をより詳細に確認できます。

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  • 妊娠25〜30週頃

    心臓ドック

    赤ちゃんの心臓病は頻度が高く、専門的な検査が必要です。当クリニックでは胎児心エコー認証医が担当します。

    心臓ドックの詳細はこちら

大切なこと 08

一般の妊婦健診エコーは、発育確認が主な目的です

「毎回エコーを受けているから大丈夫」と思われている妊婦さんも多いですが、一般の妊婦健診のエコーの主な目的は赤ちゃんの大きさ・胎位・羊水量などの確認です。病気の詳細な精査とは目的が異なります。

一般の妊婦健診エコー

  • 赤ちゃんの大きさ・発育の確認
  • 羊水量・胎盤位置の確認
  • 胎位(頭位・逆子)の確認

専門的な形態スクリーニングとは目的が異なります

専門的な胎児ドック(当クリニック)

  • 心臓・脳・内臓などの構造を精密に評価
  • NT・鼻骨など染色体リスクの指標を計測
  • 専門的な訓練を受けた医師が担当
  • 高精度超音波(Voluson Expert 22)を使用

まとめ

NIPTと超音波(胎児ドック)は「どちらか一方」ではなく、互いを補い合う検査です。NIPTは染色体の数の異常を高精度に評価し、胎児ドックは心臓・脳・内臓などの構造を直接確認します。どちらか一方だけでは把握できない赤ちゃんの状態を、組み合わせることでより正確に知ることができます。

一般の妊婦健診では見つかりにくい異常も、専門的な検査を適切な時期に受けることで早期に把握できます。「知ること」は、ご両親とお子さんにとって、最善の選択をするための第一歩です。

検査を受けるかどうかは、ご夫婦が自由に決めることができます。それぞれの状況と価値観をもとに納得して選択できるよう、丁寧にご説明・サポートいたします。

よくあるご質問

Q 出生前診断とはどのような検査ですか?
A

お腹にいる赤ちゃんの健康状態を調べる検査の総称です。エコー検査・NIPT・染色体検査などがあり、妊娠週数に合わせて段階的に受けることができます。

Q 出生前診断は誰でも受けられますか?
A

はい、当クリニックでは紹介状不要で受診いただけます。他院で妊婦健診中の方も直接ご予約いただけます。

Q 出生前診断を受けるベストなタイミングはいつですか?
A

NIPTは妊娠10週から、初期ドックは12〜13週、早期ドックは14〜17週、中期ドックは18〜22週、心臓ドックは25〜30週が目安です。早い時期から段階的に受けることをお勧めします。

Q NIPTと超音波検査(胎児ドック)の違いは何ですか?
A

NIPTはお母さんの血液から赤ちゃんの染色体の数的異常(ダウン症候群・18トリソミーなど)を調べる検査です。一方、超音波検査は赤ちゃんの体の形・構造(心臓・脳・骨格など)を直接確認する検査です。NIPTでは形態異常は検出できず、超音波では染色体の数は見えません。両者は互いを補い合う別の役割があります。

Q もし赤ちゃんに病気が見つかった場合、どのような選択肢がありますか?
A

病気の種類や程度によりますが、追加の確定検査(羊水検査など)、専門医・遺伝カウンセラーへの相談、胎児治療の検討、出産施設の選択・準備といった選択肢があります。早期に発見するほど、十分な情報と時間をもって選択できることが最大のメリットです。当クリニックでは検査後のご相談にも対応しています。

Q 妊婦健診のエコーと胎児ドックは何が違いますか?
A

妊婦健診のエコーは赤ちゃんの発育確認や羊水量など基本的なチェックが目的で、数分程度です。胎児ドックは国際ガイドラインに基づき多数の断面を系統的に評価し、心臓・脳・骨格など全身の構造異常を詳しく確認する専門的な検査です。目的・精度・検査時間が根本的に異なります。

最終更新日:2026年6月24日

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