TRISOMY 18
18トリソミーとは
出生前診断を検討されている方へ|原因・特徴・検査を解説
INTRODUCTION
18トリソミーとは
18トリソミーは、18番染色体が通常2本のところ3本ある(トリソミー18)ことで起こる染色体の状態です。出生児では約5,000〜8,000人に1人の割合で生まれますが、妊娠中の頻度はより高く(約2,500〜2,600人に1人)、多くの場合は妊娠中に胎児死亡となります。ダウン症候群に次いで2番目に多い常染色体トリソミーです。
18トリソミーの原因の約95%は、卵子または精子が作られる際に偶然起こる染色体の分配エラー(不分離)によるもので、遺伝するものではありません。残りの約5%はモザイク型(一部の細胞のみにトリソミーがある)や部分トリソミー(18番染色体の一部のみが余分にある)です。
AGE
年齢と18トリソミーの関係
母体年齢が上がるにつれて、18トリソミーの赤ちゃんが生まれる確率は高くなります。
年齢別の頻度(目安)
- 20〜24歳:約10,000人に1人未満
- 30〜34歳:約3,000〜4,000人に1人
- 35〜39歳:約1,500〜2,000人に1人
- 40歳以上:約600〜700人に1人
ただし、ダウン症候群と同様に、実際の出生数で見ると、若い年齢層からの出生も一定数あります。これは、35歳未満の女性の出産数が全体として多いためです。つまり、高齢になるほど一人ひとりのリスクは高くなりますが、若い年齢層でも18トリソミーの赤ちゃんが生まれることがあります。
また、18トリソミーは女児に多く、出生児の2〜3倍が女児です。
FEATURES
18トリソミーのある方の特徴と生活
18トリソミーのある方には、以下のような特徴が見られることがあります。
身体的特徴
- 小さな頭、小さな顎と口
- 低い位置にある耳
- 握りしめた手、指が重なり合う(人差し指が中指と薬指の上に重なる)
- 小さな爪、親指の発達不全
- 短い胸骨
- 足の裏が丸く盛り上がる(ロッカーボトム足)
主な合併症
- 心臓の構造的な問題(約90%以上に見られます)
- 腎臓の異常
- 消化器系の問題(食道閉鎖、臍帯ヘルニアなど)
- 中枢神経系の異常
- 呼吸の問題(中枢性無呼吸、気道閉塞など)
発達と知的能力
- 重度の知的発達の遅れがあります
- 筋肉の緊張が弱い(低緊張)または強い(高緊張)
- けいれん発作が起こることがあります
生命予後
18トリソミーは、多くの重篤な合併症を伴うため、生命予後は厳しい状態です。
- 約50%の赤ちゃんが生後1週間以上生存します
- 約13〜19%が1歳まで生存します
- 生後4週間を超えて生存した場合、約21〜32%が10歳まで生存する可能性があります
- モザイク型や部分トリソミーの場合は、完全型よりも長期生存の可能性が高くなります
医療とケア
- 呼吸や栄養摂取に支援が必要なことが多く、経管栄養が必要になることがあります
- 心臓手術などの医療介入により、生存期間が延びる可能性があります
- 定期的な健康チェックと専門医による管理が必要です
- 近年の医療技術の進歩により、以前よりも生存率が向上しています
TESTING
出生前診断の検査方法
出生前診断には主に2つのスクリーニング検査があります。
初期ドック(妊娠初期複合検査)
- 妊娠11〜13週に実施
- 超音波検査(胎児の首の後ろの厚み測定など)と母体血液検査を組み合わせます
- 18トリソミーの検出率:約80〜100%(研究により異なります)
- 偽陽性率(実際には18トリソミーでないのに陽性と出る確率):約3〜5%
NIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)
- 妊娠10週以降に実施可能
- 母体の血液中に含まれる胎児由来のDNAを分析します
- 18トリソミーの検出率:97.9%
- 偽陽性率:約0.07%
検査精度の比較:検出率と偽陽性率の観点からは、NIPTの方が初期ドックより優れた性能を示します。NIPTは非常に高い検出率を持ちながら、偽陽性が少ないため、不必要な心配や追加検査を減らすことができます。
当院からの補足:18トリソミー・13トリソミーは、一般的な確率計算(年齢や血液マーカーによるリスク評価)による検出率はダウン症候群ほど高くありません。しかし、これらのトリソミーは構造の異常を伴うことが多いため、当院の初期ドック(初期の構造スクリーニング)をあわせて受けることで、検出率が上昇する可能性があります。当院では超音波による構造評価を重視しています。
重要な注意点
- どちらの検査も「スクリーニング検査」であり、確定診断ではありません
- 陽性の結果が出た場合は、羊水検査などの確定診断が必要です
- 18トリソミーは妊娠中に胎児死亡となることも多いため、超音波検査での経過観察も重要です
- 検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、ご夫婦で十分に話し合い、必要に応じて遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします
最後に
18トリソミーは、重篤な合併症を伴い、生命予後が厳しい状態です。しかし、一部の赤ちゃんは長期間生存することもあり、医療の進歩により支援の選択肢も広がっています。
出生前診断は、妊娠中の選択肢の一つです。検査を受けるかどうか、結果をどのように考えるかは、一人ひとりの価値観や状況によって異なります。十分な情報を得た上で、ご自身とご家族にとって最善の選択をしていただくことが大切です。
医療チームは、どのような選択をされても、皆様を支援いたします。
参考文献
- Cereda A, Carey JC. The trisomy 18 syndrome. Orphanet J Rare Dis. 2012. Review
- Crider KS, et al. Trisomies 13 and 18: population prevalences, characteristics, and prenatal diagnosis. Am J Med Genet A. 2008.
- Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017. SR
- Rose NC, et al. Screening for fetal chromosomal abnormalities: ACOG Practice Bulletin. Obstet Gynecol. 2020. Guideline
本ページは、18トリソミーについて理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。症状や経過には個人差があり、検査の適応や結果の解釈は妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。