超音波検査(エコー検査)とは
超音波検査は、お腹の上から超音波をあてて、赤ちゃんの様子を観察する検査です。妊娠初期(11〜13週頃)に行う初期ドックと、妊娠中期(18〜20週頃)に行う中期ドックがあります。
初期ドックと中期ドックの2回受診をお勧めする理由
当院では、初期ドックと中期ドックの両方を受けていただくことをお勧めしています。その理由を、データとともにご説明します。
1. 赤ちゃんの構造異常の検出率が大幅に向上します
全体の検出率
- 中期ドックのみ:約50.5%
- 初期ドックと中期ドックの組み合わせ:約83.8%
つまり、2回受けることで、中期ドックだけの場合と比べて約33ポイント多くの構造異常を見つけることができます。これは、10,000人の妊婦さんのうち、約592人の赤ちゃんの異常を早期に発見できることを意味します。
2. 臓器によって見つけやすい時期が異なります
赤ちゃんの臓器は、妊娠の週数によって発達していきます。そのため、初期ドックで見つけやすい異常と、中期ドックで見つけやすい異常があります。
初期ドック(妊娠11〜13週)で見つけやすい異常
- 無脳症:99.5%
- 腹壁の異常(臍帯ヘルニア、腹壁破裂):95〜100%
- 全前脳胞症:92.4%
- 脳瘤:96.3%
これらの重篤な異常は、初期ドックで非常に高い確率で見つけることができます。
初期ドックでは見つけにくい異常
- 腎臓の異常:16.6%
- 消化管の異常:8.3%
- 心臓の異常:種類によって大きく異なります
これらの異常は、赤ちゃんの発達がもう少し進んだ中期ドックで見つけやすくなります。
2回受けることで、臓器別の検出率はこう変わります
| 臓器 | 初期ドックのみ | 中期ドックのみ | 初期+中期ドック |
|---|---|---|---|
| 腹壁の異常 | 95.6% | 90.8% | 99.0% |
| 脳・神経系の異常 | 56.8% | 62.5% | 88.9% |
| 心臓の異常 | 37.7% | 48.3% | 73.8% |
| 泌尿器系の異常 | 21.2% | 56.3% | 82.5% |
| 消化管の異常 | 8.3% | 33.3% | 46.5% |
このように、2回受けることで、ほとんどすべての臓器で検出率が大幅に向上します。
3. 偽陽性(誤った判定)が少なくなります
検査の精度を示す重要な指標として「偽陽性率」があります。これは、実際には赤ちゃんに異常がないのに「異常の可能性がある」と判定されてしまう確率のことです。
偽陽性率の比較(10,000人の妊婦さんあたり)
- 中期ドックのみ:約20人
- 初期ドックと中期ドックの組み合わせ:約12人
2回受けることで、不必要な心配や追加検査を受ける可能性が減ります。
4. より早い時期に結果がわかります
初期ドックは妊娠11〜13週という早い時期に行います。もし重篤な異常が見つかった場合、早い段階で詳しい検査や今後の方針について考える時間を持つことができます。
特に、命に関わる重篤な異常(致死的異常)については、初期ドックで91.3%が検出でき、初期ドックと中期ドックを組み合わせると100%検出できると報告されています。
5. 実際の数字で見てみましょう
10,000人の妊婦さんが検査を受けた場合を想定してみます。このうち、約178人の赤ちゃんに何らかの構造異常があると仮定します。
中期ドックのみの場合
- 見つかる異常:約90人
- 見逃される異常:約88人
- 誤って異常と判定される健康な赤ちゃん:約20人
初期ドックと中期ドックの両方を受けた場合
- 見つかる異常:約149人
- 見逃される異常:約29人
- 誤って異常と判定される健康な赤ちゃん:約12人
このように、2回受けることで、約59人多くの赤ちゃんの異常を見つけられる一方で、不必要な心配をする方の数は減ります。
検査の流れ
初期ドック(妊娠11〜13週)
- お腹の上から超音波をあてて、赤ちゃんの様子を観察します
- 赤ちゃんの首の後ろのむくみ(NT)を測定します
- 脳、心臓、腹壁、手足などの主要な臓器を観察します
- 検査時間:約15〜30分
中期ドック(妊娠18〜20週)
- お腹の上から超音波をあてて、赤ちゃんの様子を詳しく観察します
- 脳、顔、心臓、肺、腹部臓器、腎臓、膀胱、手足、背骨など、全身を詳しく観察します
- 赤ちゃんの発達がより進んでいるため、初期ドックでは見えにくかった部分も観察できます
- 検査時間:30分前後
いつ受けられるかは、受診時期の計算ツールでも確認いただけます。
大切なこと
超音波検査は、赤ちゃんの異常を早期に見つけるための検査ですが、すべての異常を見つけられるわけではありません。また、異常が疑われた場合でも、必ずしも確定診断ではなく、さらに詳しい検査が必要になることがあります。
検査を受けるかどうか、異常が見つかった場合にどうするかは、ご夫婦でよく話し合い、医療者と相談しながら決めていくことが大切です。
まとめ
初期ドックと中期ドックの両方を受けることで、
- 構造異常の検出率が約33ポイント向上(約50.5% → 約83.8%)
- 致死的な重篤異常はほぼ100%検出可能
- 臓器によって見つけやすい時期が異なるため、2回受けることで見逃しが減る
- 偽陽性率が低下し、不必要な心配が減る
- 早期に結果がわかり、より多くの選択肢と時間が得られる
これらの理由から、当院では初期ドックと中期ドックの両方を受けていただくことをお勧めしています。
初期・中期・後期の3回を通した役割の違いは、妊娠中の3回の超音波検査が大切な理由でも解説しています。
参考文献
- Buijtendijk MF, Bet BB, Leeflang MM, et al. Diagnostic Accuracy of Ultrasound Screening for Fetal Structural Abnormalities During the First and Second Trimester of Pregnancy in Low-Risk and Unselected Populations. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2024;5:CD014715. doi:10.1002/14651858.CD014715.pub2.
本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。
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