当院院長(福田裕償)の研究論文が、超音波医学の国際学術誌 Journal of Ultrasound in Medicine(2026年) に掲載されました。大阪大学、クリフム出生前診断クリニックとの共同研究です。テーマは、妊娠初期の超音波で、赤ちゃんの心臓の重い病気を、より早く・より見やすく捉える方法についてです。
「円錐動脈幹(えんすいどうみゃくかん)異常」とは
心臓からは、大動脈と肺動脈という2本の太い血管が出ています。この大血管の“つなぎ方”に生まれつき異常があるものを、まとめてこう呼びます。代表はファロー四徴症・完全大血管転位症・両大血管右室起始症など。いずれも重症で、生まれてすぐの治療が必要になることが多い先天性心疾患です。これらは従来、妊娠中期以降にわかることが多く、妊娠初期に見つけるのは難しいとされてきました。
使った技術 —「SlowflowHD」
SlowflowHDは、ゆっくりした細い血流まで鋭敏に映せる、新しいカラードプラ(血流を見る超音波)の技術です。この研究では、お腹の上から(経腹的に)、当院と同じ高性能機種 Voluson Expert 22 を用いて行いました。
研究の内容
2023年1月〜2025年4月、妊娠12〜13週の1,080名の妊婦さんの初期スクリーニングで、心臓の「四腔断面・左室流出路・3血管気管断面」を、通常の白黒画像に加えてSlowflowHDで確認しました(血流の向きの確認には HDlive Flow も使用)。すべて院長一人が経腹的に実施しています。
わかったこと
- この期間に、5例の流出路(大血管)の異常を妊娠初期に検出しました(ファロー四徴症3例・両大血管右室起始症1例・完全大血管転位症1例)。
- いずれの症例でも、SlowflowHDのほうが白黒画像だけよりも、血管の並びや、心臓中隔と大動脈のつながりを明瞭に描き出せました。
- 見つかった所見は、その後の精密検査(中期の胎児心エコーなど)で確認されました。
つまり、通常は中期に見つかることが多い大血管の異常を、この技術を使えば妊娠初期に捉えられる場合があることを示した研究です。
妊婦さんにとっての意味
重い心臓の病気は、早くわかるほど準備ができます(専門施設での出産、生まれた直後の治療、ご家族の心の準備)。詳しくは胎児の心臓スクリーニングをご覧ください。
ただし、これは**「初期でも見つけられる可能性がある」ことを示した初期段階の研究**で、あくまで通常の検査を補う位置づけです。初期にすべてがわかるわけではなく、妊娠中期・後期の検査も引き続き大切です。当院の初期の心臓評価は初期からの心臓スクリーニングでご紹介しています。
論文情報
First-Trimester Detection of Conotruncal Anomalies Using Transabdominal SlowflowHD: A Case Series and Proof-of-Concept Study. Journal of Ultrasound in Medicine. 2026 Jan;45(1):201–207.(電子版先行公開:2025年8月19日)Fukuda H, Fukuda A, Mimura K, Endo M, Pooh RK, Kodama M. DOI: 10.1002/jum.70037 / PubMed: 40827753
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Fukuda H, Fukuda A, Mimura K, Endo M, Pooh RK, Kodama M. First-Trimester Detection of Conotruncal Anomalies Using Transabdominal SlowflowHD: A Case Series and Proof-of-Concept Study. J Ultrasound Med. 2026;45(1):201–207. doi:10.1002/jum.70037
解説ページ:https://hirotsugu-prenatal.jp/column/first-trimester-heart-research/
本コラムは、当院院長の研究内容を妊婦さんにわかりやすくご紹介するものです。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。ご不明な点は、外来で医師・専門スタッフにお気軽にお尋ねください。
本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。