先天性心疾患(生まれつきの心臓の病気)は、約1,000人に8〜10人に見られる、最も多い先天異常のひとつです。出生前に把握しておくことで、準備や対応が大きく変わります。
なぜ心臓を専門的に見る必要があるのか
一般の妊婦健診でも超音波で心臓を確認しますが、四腔断面(4つの部屋が見えているかどうか)の確認にとどまることが多いです。これで発見できる心疾患もありますが、複雑な心臓の構造異常(特に大血管の接続の異常など)は、より専門的な評価をしないと見逃されることがあります。
妊娠初期の心臓スクリーニング(12〜13週)
妊娠12〜13週の初期段階でも、専門的な超音波機器と技術があれば、心臓の基本的な評価が可能です。
この時期に特に有用なのがSpeedFlowHD・SlowflowHDを用いたカラードプラ超音波で、心臓内の血流を詳細に描出できます。大血管の走行異常など、中期以降でないとわからないとされていた所見が、初期から把握できる場合があります。
当院の初期の心臓スクリーニングでは、この技術を用いた専門的な評価を行っています。
妊娠中期の心臓精密検査(25〜30週)
中期(25〜30週)になると赤ちゃんの心臓が大きくなり、より詳細な評価が可能になります。この時期の胎児心エコー(心臓ドック) では:
- 心臓の4つの部屋の形と大きさ
- 弁の動き
- 大動脈・肺動脈の接続と太さ
- 心臓内の血流の方向
これらを詳しく評価し、先天性心疾患の診断や重症度の把握を行います。
心臓の問題が見つかったら
胎児期に心疾患が見つかると、「どこで産む病院を選ぶか」「生後すぐに必要な治療は何か」を事前に計画できます。突然の緊急手術ではなく、計画的な医療につなげることが出生前診断の大きな意義のひとつです。
染色体異常と心疾患の関係
先天性心疾患の約25〜30%に、染色体異常や遺伝的な要因が関連するといわれています。NIPTで染色体を評価しながら、超音波で心臓も確認することで、より総合的な評価が可能です。詳しくは先天性心疾患についてもご覧ください。
まとめ
- 先天性心疾患は約1,000人に8〜10人に見られ、出生前診断が役立ちます。
- 初期(12〜13週)と中期(25〜30週)で異なる評価ができます。
- 出生前に把握することで、出産場所や生後の医療計画が立てやすくなります。
本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。