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ひろつぐ出生前診断クリニック

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NIPTの「陽性的中率」が年齢によって大きく変わる理由

NIPT

NIPT(新型出生前診断)は、赤ちゃんの染色体の病気を調べるための検査です。この検査で「陽性」という結果が出たとき、それが本当に赤ちゃんに異常があることを意味する確率を「陽性的中率」といいます。

ここでは、なぜ陽性的中率が年齢や調べる病気によって大きく変わるのか、そしてそれがなぜ大切なのかをご説明します。

医師が妊婦さんに説明し、背景に散らばる多数の点のうちごく一部だけが色づき、陽性的中率(割合)の感覚を表したイラスト。

陽性的中率とは何か

陽性的中率とは、「検査で陽性と出た人のうち、本当に病気がある人の割合」のことです。

たとえば、100人が陽性と判定され、そのうち実際に赤ちゃんに異常があったのが80人だった場合、陽性的中率は80%です。残りの20人は「偽陽性(間違った陽性)」ということになります。

なぜ年齢で陽性的中率が変わるのか

陽性的中率は、「その病気がどのくらいの頻度で起こるか(=事前リスク)」に大きく影響されます。年齢が上がるほど染色体異常の頻度が高くなるため、同じ検査でも、陽性と出たときの信頼性(陽性的中率)が変わります。

21トリソミー(ダウン症候群)を例にすると、次のようになります。

妊婦さんの年齢21トリソミーの陽性的中率
25歳約80%
35歳約90%
40歳以上約95〜100%

同じ検査でも、もともとの病気の起こりやすさが違うと、陽性と出たときの「本当に異常がある確率」が変わってくるのです。

同じ年齢でも、病気によって陽性的中率が違う

日本のNIPTでは、主に3つの染色体異常(21・18・13トリソミー)を調べますが、これらの起こりやすさは異なります。

染色体異常陽性的中率(全年齢平均)
21トリソミー(ダウン症候群)約70〜90%
18トリソミー約50〜70%
13トリソミー約25〜40%

13トリソミーは21トリソミーよりもずっと珍しい病気です。そのため、同じ年齢の妊婦さんでも、13トリソミーで陽性と出た場合の方が、偽陽性である可能性が高くなります。

さらに珍しい異常を調べる場合の問題

最近では、より多くの染色体異常を調べられるNIPT(拡大NIPT)もあります。しかし、珍しい異常を調べるほど、陽性的中率はさらに低くなります。

調べる対象陽性的中率
稀な染色体異常(RAT)約6〜11%
微細な染色体の欠失・重複約20〜40%
特定の微細欠失症候群0〜21%(病気により大きく異なる)

たとえば、稀な染色体異常で陽性と出ても、実際に赤ちゃんに異常がある確率は10人に1人程度。つまり、10人中9人は偽陽性(間違った陽性)ということになります。

リスクのない一般妊婦さんが受ける場合の注意点

若い年齢で、特にリスクのない妊婦さんが、珍しい異常まで含めた広範囲のNIPTを受けた場合は、次の点に注意が必要です。

  1. 陽性と出る確率自体は低いですが、もし陽性と出た場合、それが偽陽性である可能性がかなり高くなります。
  2. 偽陽性の結果を受けて、確認のために羊水検査などの侵襲的検査を受けることになります。
  3. 羊水検査には、わずかですが流産のリスク(約0.1〜0.3%)があります。
  4. 結果的に、本当は異常がないのに、検査のリスクだけを負うことになる可能性があります。

具体例で考えてみましょう

同じ25歳の妊婦さんでも、調べる対象によって「陽性」の意味は大きく変わります。

21トリソミーを調べた場合稀な染色体異常を調べた場合
陽性が本当に異常である確率約80%約10%
言いかえると5人に4人は本当に異常あり10人に1人だけ本当に異常あり
偽陽性5人に1人10人に9人

検査を受ける前に考えていただきたいこと

NIPTは非常に優れた検査ですが、万能ではありません。受ける前に、以下のことを考えてみてください。

1. どの範囲の検査を受けるか

基本の3トリソミー(21・18・13)だけを調べるのか、それとも、より広範囲の異常まで調べるのか。広範囲になるほど、偽陽性の可能性が高くなります。

2. 陽性が出た場合の対応

もし陽性と出た場合、確認のための羊水検査を受けるかどうか。羊水検査にはわずかながら流産のリスクがあることを理解しておく必要があります。

3. ご自身の年齢とリスク

年齢が若く、他にリスク因子がない場合は、陽性的中率が低くなります。つまり、陽性と出ても偽陽性である可能性が高いということです。

4. 検査の目的

何のために検査を受けるのか、陽性が出た場合にどうしたいのか、ご家族とよく話し合っておくことが大切です。

NIPTは「スクリーニング検査」です

NIPTは「スクリーニング検査(ふるい分け検査)」であり、「確定診断」ではありません。

  • 陽性と出ても、必ず羊水検査などで確認する必要があります。
  • 陰性と出た場合は、ほぼ確実に異常がないと考えられます(陰性的中率は99%以上)。

まとめ

  • 陽性的中率は、年齢や調べる病気の珍しさによって大きく変わります。
  • 年齢が若いほど、また病気が珍しいほど、陽性的中率は低くなります。
  • 珍しい異常まで調べると、陽性と出ても偽陽性である可能性が高くなります。
  • リスクのない一般妊婦さんが広範囲の検査を受けると、必要のない侵襲的検査を受けるリスクが高くなる可能性があります。

次のステップ

検査を受けるかどうか、どの範囲の検査を受けるかは、ご自身とご家族が決めることです。

  • 担当の産科医や遺伝カウンセラーに、ご自身の年齢での陽性的中率について具体的に聞いてみましょう。
  • 検査の利点と限界について、十分に説明を受けましょう。
  • ご家族と一緒に、ご自身にとって最適な選択について話し合いましょう。

どのような選択をされても、それはご自身とご家族にとっての最善の判断です。十分な情報をもとに、納得のいく選択ができるよう、医療チームがサポートいたします。

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本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。

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最終更新日:2026年6月25日

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