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ひろつぐ出生前診断クリニック

WHY FALSE POSITIVE

「偽陽性」はなぜ起きるのか — NIPTの仕組みから理解する

NIPT

NIPT(新型出生前診断)で「陽性」という結果が出たのに、その後の羊水検査で赤ちゃんには異常がなかった——という場合があります。これを「偽陽性」と呼びます。

「検査が間違っていたの?」と不安になられるかもしれませんが、実は偽陽性には医学的な理由があります。NIPTの仕組みを理解すると、なぜ偽陽性が起きるのかがわかります。

このページの役割:ここでは「偽陽性がなぜ起きるのか」を、NIPTの仕組みから原因別に深く掘り下げます。偽陽性・偽陰性の意味や、陽性・陰性の結果の受け止め方をまず知りたい方は、偽陽性・偽陰性とは(意味と受け止め方)からご覧ください。

NIPTは何を調べているのか

NIPTは、お母さんの血液中に流れている「DNAのかけら」を調べる検査です。

妊娠中、お母さんの血液の中には、お母さん自身の細胞から出たDNAのかけら(細胞フリーDNA)と、胎盤から出たDNAのかけらが混ざって流れています。NIPTでは、この血液中のDNAのかけらを集めて分析し、特定の染色体(21番・18番・13番)の量が多くないかを調べています。

重要:「赤ちゃんのDNA」ではなく「胎盤のDNA」を見ている

ここが最も大切なポイントです。

NIPTで調べているのは、実は赤ちゃんのDNAそのものではなく、主に胎盤から出たDNAです。ほとんどの場合、胎盤と赤ちゃんは同じ遺伝情報を持っているため、胎盤のDNAを調べることで赤ちゃんの状態がわかります。

しかし、ときには胎盤だけに染色体の異常があって、赤ちゃんには異常がないという状況が起こります。これが偽陽性の主な原因です。

偽陽性が起きる主な理由

1. 限局性胎盤モザイク(最も多い原因)

胎盤の一部だけに染色体異常がある状態で、妊娠の約1〜2%で起こると言われています。この場合、胎盤から出たDNAには異常が含まれているため、NIPTでは「陽性」と出ますが、赤ちゃん自身は正常な染色体を持っています。これは検査の失敗ではなく、胎盤と赤ちゃんの染色体が異なるという生物学的な現象です。

2. 双子の一人が育たなかった場合(バニシングツイン)

妊娠初期に双子だったけれど、一人が途中で育たなくなることがあります。もし育たなかった赤ちゃんに染色体異常があった場合、その細胞から出たDNAがお母さんの血液中に残り、NIPTでは「陽性」と出ますが、残っている赤ちゃんは正常ということがあります。

3. お母さん自身の染色体の特徴

実は、お母さん自身が気づいていない染色体の特徴を持っていることがあります。お母さんの細胞の一部に染色体異常がある(モザイク)場合や、染色体の一部が通常より多い・少ない(コピー数変異)場合、NIPTの結果に影響することがあります。特に性染色体(X・Y染色体)の異常では、お母さん自身の染色体の特徴が原因で偽陽性になることが比較的多いとわかっています。

4. その他のまれな原因

  • 子宮筋腫:一部の子宮筋腫は染色体の変化を持っており、それがNIPTの結果に影響することがあります。
  • お母さんの病気:非常にまれですが、お母さんに気づいていない腫瘍がある場合、その細胞から出たDNAが結果に影響することがあります。

研究によると、偽陽性の原因の約39%は限局性胎盤モザイクで、半数以上はお母さん自身の染色体の特徴(モザイクやコピー数変異)によるものと報告されています。母体側の要因が、想像以上に大きいことがわかってきています。

偽陽性はどのくらい起きるのか

NIPTは非常に精度の高い検査ですが、偽陽性を完全にはなくせません。

対象偽陽性率
21トリソミー(ダウン症候群)約0.09〜0.13%
性染色体の異常約1%(やや高め)

性染色体の異常で偽陽性率がやや高いのは、前述のとおりお母さん自身の染色体の特徴が影響しやすいためです(陽性的中率と年齢の関係もご参照ください)。

だから「確定診断」が必要です

NIPTで「陽性」という結果が出た場合、必ず羊水検査・絨毛検査などの確定診断を受けることが推奨されています。これらの検査では赤ちゃんの細胞を直接調べるため、本当に染色体異常があるのかを正確に知ることができます。

NIPTはあくまで「スクリーニング検査(ふるい分け検査)」であり、「診断検査」ではありません。陽性という結果は「可能性が高い」ことを示していますが、「確定」ではないのです。

実際に米国のFDA(食品医薬品局)も、陽性結果を確定診断なしに受け止めてしまうことの危うさに注意を促しています。確定検査と十分なカウンセリングを経てから、大切な判断を進めることが何より重要です。

偽陽性は「検査の失敗」ではありません

偽陽性が起きるのは、検査が間違っているからではなく、NIPTが胎盤由来のDNAを調べているという仕組み上、避けられない現象です。むしろNIPTは、従来の血液検査(母体血清マーカー検査)に比べて偽陽性率を大幅に減らすことに成功した、非常に優れた検査です。

まとめ

  • NIPTは赤ちゃんのDNAではなく、主に胎盤から出たDNAを調べています。
  • 胎盤だけに染色体異常がある場合、NIPTが陽性でも赤ちゃんは正常ということがあります。
  • お母さん自身の染色体の特徴も、偽陽性の原因になることがあります。
  • NIPTで陽性が出た場合は、必ず確定診断を受けることが大切です。
  • 偽陽性は検査の失敗ではなく、NIPTの仕組み上起こりうる現象です。

NIPTの結果について不安なことがあれば、遠慮なく担当の医師や遺伝カウンセラーにご相談ください。検査の仕組みを理解することで、結果をより正しく受け止めることができます。

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本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。

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最終更新日:2026年6月28日

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