NIPTは非常に精度が高い検査ですが、「100%正確」ではありません。その理由として知っておきたいのが偽陽性と偽陰性という概念です。
偽陽性とは
偽陽性(false positive) とは、実際には染色体異常がないのに、検査結果が「陽性」と出るケースです。
NIPTの偽陽性率は非常に低く、3疾患合計で0.1%以下とされています。ただし、若い年齢のお母さんほど、陽性が出たときに本当に異常がある確率(陽性的中率)が低くなる点に注意が必要です。
例えば、25歳のお母さんがダウン症候群陽性の結果を受け取った場合、実際にダウン症候群である確率は陽性適中率の観点からは50〜80%程度とされており、確定検査が必須です。
偽陽性が起こる主な理由
- 胎盤モザイク:胎盤の細胞は染色体異常があるが、赤ちゃん(胎児)の細胞は正常というケース
- お母さん自身の染色体変化:まれにお母さんの血液中のDNAが原因になる
- 消えた双胎(Vanishing twin):もう一人の双子が初期に消えていた痕跡
偽陰性とは
偽陰性(false negative) とは、実際には染色体異常があるのに「陰性(問題なし)」と出るケースです。
NIPTの偽陰性率は非常に低いですが、ゼロではありません。陰性でも100%異常がないとは言えません。これは「検査の限界」であり、どんな検査にも当てはまります。
偽陰性が起こる主な理由
- fFDNA(胎児DNA)の割合が低い:妊娠週数が早すぎる場合や体格によって赤ちゃん由来のDNA量が少なくなることがある
- モザイク型の染色体異常:染色体異常のある細胞とない細胞が混在しているため、検出しにくい
陽性・陰性の結果をどう受け止めるか
| 結果 | 意味 |
|---|---|
| 陽性 | 染色体異常の可能性が高い。確定診断が必要 |
| 陰性 | 染色体異常の可能性は非常に低い(ほぼ除外できる)。ただし100%ではない |
陽性の場合は必ず羊水検査などの確定検査で確認することが重要です。陰性の場合も、超音波での形態評価と組み合わせることでより確かな評価につながります。
まとめ
- 偽陽性=本当は異常なしなのに陽性と出ること、偽陰性=本当は異常ありなのに陰性と出ることです。
- NIPTの精度は非常に高いですが、どちらのケースもわずかながら起こり得ます。
- 陽性の場合は確定検査が必須、陰性の場合も絶対ではないことを理解したうえで結果を受け取りましょう。
本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。