NIPTで「判定保留(no call)」という結果が出た方へ、次のステップを考える前に知っておいていただきたい情報をまとめました。
「判定保留」とは何か
「判定保留」とは、検査を行ったものの、結果を判定できなかったという意味です。「検査失敗」「結果が出ない」「低胎児DNA分画」などと呼ばれることもあります。NIPTを受けた方の約1〜3%に起こります。
検査が失敗したからといって、必ずしも赤ちゃんに問題があるわけではありません。
なぜ「判定保留」になるのか
最も多い理由は、血液中の赤ちゃん由来のDNAの量が少なすぎること(低胎児DNA分画)です。NIPTは、お母さんの血液中に含まれる赤ちゃん由来のDNAを調べる検査ですが、血液中のDNAのほとんどはお母さん由来で、赤ちゃん由来のDNAはわずかです。この割合が低すぎると、正確な判定ができません。
赤ちゃん由来のDNAが少なくなる要因:
- 妊娠週数が早い(妊娠10週未満など)
- お母さんの体重が重い
- 特定の薬(抗凝固薬など)を使用している
- 自己免疫疾患がある
- 双胎の一児が消失した(バニシングツイン)
そのほか、検査データの解釈が難しい場合や、検体の取り扱いの問題で判定保留になることもあります。
「判定保留」と染色体疾患のリスク
判定保留という結果が出た場合、赤ちゃんに染色体疾患がある可能性が、通常よりも高くなることが研究で示されています。ある大規模研究では、21・18・13トリソミーのいずれかがある相対リスクが約130倍高いと報告されています。
ただし、実際の確率は依然として低く、判定保留となった方の98%以上は、赤ちゃんに染色体疾患はありません。 特に18トリソミー・13トリソミー・三倍体などは、赤ちゃん由来のDNAの量が少なくなりやすいことが知られています。
「判定保留」と妊娠合併症のリスク
判定保留という結果は、染色体疾患だけでなく、妊娠合併症のリスクが高いことを示唆する可能性があります。研究では、妊娠高血圧腎症(子癇前症)・早産・妊娠糖尿病などのリスクが高くなることが報告されています。これは、赤ちゃん由来のDNAが胎盤から放出されるため、低胎児DNA分画が胎盤の機能を反映している可能性があるためと考えられています。
ただし、判定保留となった方の約95%は無事に出産されています。
当院の方針:再採血ではなく、基幹病院の受診をお勧めしています
一般には「週数が進んでから再採血すると約75〜80%で結果が得られる」とされますが、当院では、判定保留の場合に単純な再採血(再検査)はお勧めしていません。
これは、判定保留そのものが染色体疾患や妊娠合併症のリスク上昇のサインであるため、再採血で時間を費やすよりも専門的な評価に進むことを推奨する、米国のガイドライン(ACMG/SMFMなど)の考え方に沿った方針です。
当院では、判定保留の場合、出生前検査認証制度の基幹施設である大阪公立大学附属病院(NIPTの基幹病院)の受診をお勧めしています。 基幹病院では、遺伝カウンセリング、詳しい超音波検査、必要に応じた確定的検査(羊水検査など)を含めた専門的な対応を受けることができます。当院は連携施設として、基幹病院へのご紹介・情報共有を行います。
どう考えて進めるか
最終的にどのように進めるかは、以下の要素をふまえて決めていきます。
- 妊娠週数
- 超音波検査の所見
- 染色体疾患のリスク(年齢・家族歴など)
- ご本人・ご家族のお考え(確実な診断を早く得たいか、侵襲的検査を避けたいか)
判定保留という結果は不安を感じられるかもしれませんが、多くの場合、赤ちゃんは健康です。 ご自身の状況に応じた選択肢について、基幹病院での遺伝カウンセリングなどを通じて詳しく知ることができます。
大切なこと
- 判定保留は「検査結果が出なかった」という意味で、赤ちゃんに必ず問題があるわけではありません。
- ただし、染色体疾患や妊娠合併症のリスクは通常より高くなるため、当院では再採血ではなく、NIPTの基幹病院の受診をお勧めしています。
- 最終的にどうするかは、ご自身とご家族で決めることができます。
- 不安なことや疑問があれば、遠慮なく医療スタッフにご相談ください。
NIPTそのものについては、NIPTのページもあわせてご覧ください。
本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。
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NIPT(新型出生前診断)検査はすべて大阪・南森町の当院(南森町駅すぐ)での対面診療です。結果のご説明はオンラインにも対応しています。