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ひろつぐ出生前診断クリニック

EARLY FETAL HEART SCREENING

NIPTが陰性でも、赤ちゃんの心臓は別に確認を — 妊娠初期の心臓スクリーニング

超音波検査

「NIPTが陰性だったので、赤ちゃんはもう大丈夫」と感じる方は少なくありません。ほっとされるお気持ちは、とてもよくわかります。

ただ、NIPTで調べているのはダウン症(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーの3つの染色体の病気です。赤ちゃんの心臓の形の病気は、NIPTではわかりません。

このコラムでは、NIPTが陰性だった方にこそ知っていただきたい、妊娠初期の心臓のチェックについてお話しします。

NIPTと心臓の検査は、調べているものが違います

NIPTは、お母さんの血液から赤ちゃんの染色体の数を調べる検査です。

一方、生まれつきの心臓の病気(先天性心疾患)の多くは、染色体の数とは関係なく起こります。胎児の心臓スクリーニングでもお話ししたとおり、心臓の病気をもつ赤ちゃんの90%以上は、家族歴やリスク要因のない妊婦さんから生まれています。

つまり、NIPTが陰性でも、心臓は別に、超音波で確認する必要があるということです。

以前は「血流のサイン」から推測していました

妊娠初期の超音波検査では、これまで、心臓の中の弁を逆向きに流れる血流(三尖弁逆流)や、心臓に向かう血管の血流(静脈管の血流)といった「サイン」を見て、心臓の病気の可能性を推測することがありました。

ところが、これらのサインには限界があることがわかってきました。

  • 重い心臓の病気がある赤ちゃんでも、サインが出るのは約3人に1人にとどまります
  • 反対に、心臓に病気のない赤ちゃんでも、100人に1人ほどはサインが見られます

ほかにリスクがない方では、サインが出なくても安心とは言い切れず、サインが出ても病気とは限りません。そのぶん、必要のない心配をおかけしてしまうこともあります。

いまは「心臓のつくりそのもの」を見に行きます

そこで当院では、妊娠初期の心臓のチェックを、心臓の部屋と血管のつくりを直接確認する方法を中心にしています。見ているのは主に次の場所です。

  • 4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)がそろっているか
  • 心臓から出る2本の太い血管(大動脈と肺動脈)が、正しい場所から出ているか
  • 3本の血管の並びが正しいか

妊娠初期の心臓の検査についての海外の研究をまとめた報告では、ほかにリスクのない妊婦さんで、4つの部屋だけを見る方法で見つけられた重い心臓の病気は約3割でした。出口の血管とカラードプラまで加えると、約8割まで増えていました。

当院のSlowflowHDによる妊娠初期の心臓スクリーニング

妊娠12〜13週の赤ちゃんの心臓はまだとても小さく、通常の白黒の画像だけでは、血管のつながりを見分けるのが難しいことがあります。

当院では、初期ドックの際に、SlowflowHDという超音波の技術を使っています。ゆっくり流れる細い血流まで、色をつけて鮮明に映し出せるカラードプラで、GEヘルスケアの高性能機種「Voluson Expert 22」と組み合わせて、妊娠12〜13週から心臓の部屋と大きな血管の流れを確認しています。

この方法で、通常は妊娠中期に見つかることが多い心臓の大血管の病気を、妊娠初期に観察できた例については、当院院長の研究の紹介にまとめています。

検査はお腹の上から行う、ふつうの超音波検査です。痛みはありません。

血流の「サイン」を見ないわけではありません

首の後ろのむくみ(NT)が厚いときなど、もともと注意が必要な場合には、三尖弁や静脈管の血流のサインも、あわせて確認します。こうした場合には、サインが次の検査を考えるための大切な手がかりになるためです。

妊娠初期の検査だけで終わりではありません

妊娠初期の心臓のチェックで、すべての病気がわかるわけではありません。

赤ちゃんの心臓はまだ小さく、向きによっては見えにくいこともあります。また、大動脈縮窄や左心低形成症候群のように、妊娠が進むにつれて、はじめてはっきりしてくる病気もあります。

海外の専門家の声明でも、妊娠初期の心臓の検査は役に立つ一方で、妊娠18〜22週の検査の代わりにはならないとされています。妊娠初期に異常が見られなかった方も、中期ドックなどで、妊娠中期にもう一度確認していただくことをおすすめします。

まとめ

  • NIPTが陰性でも、赤ちゃんの心臓の形は、超音波で別に確認する必要があります
  • 血流の「サイン」だけでは、心臓の病気を見つけきれないことがわかってきました
  • 当院では、SlowflowHDを使って、妊娠初期から心臓のつくりそのものを確認しています
  • 妊娠初期の検査は、妊娠中期の検査とあわせて考えていただくのがおすすめです

※ 超音波検査で、すべての病気が見つかるわけではありません。赤ちゃんの向きや、お母さんのお腹の状態によって、見えにくい場合もあります。

NIPTと超音波検査の違いについてはNIPTと初期ドックの違い、検査の受け方については初期ドック・NIPTのページもご覧ください。

参考文献

  1. Pereira S, Ganapathy R, Syngelaki A, Maiz N, Nicolaides KH. Contribution of fetal tricuspid regurgitation in first-trimester screening for major cardiac defects. Obstet Gynecol. 2011;117(6):1384-1391. doi:10.1097/AOG.0b013e31821aa720
  2. Karim JN, Bradburn E, Roberts N, Papageorghiou AT. First-trimester ultrasound detection of fetal heart anomalies: systematic review and meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):11-25. doi:10.1002/uog.23740
  3. Geiger MK, McBrien A, Hornberger LK, et al. Performance of Early Fetal Echocardiography: An Expert Statement from the Fetal Heart Society. J Am Soc Echocardiogr. 2026;39(2):188-205(電子版 2025年10月). doi:10.1016/j.echo.2025.09.020

本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。

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最終更新日:2026年10月4日

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