「上の子は元気に生まれたのに、どうして今回は…」——このように感じられるのは、とても自然なことです。染色体異常が「繰り返すのか」「前の子が元気なら安心なのか」という疑問について、整理してお伝えします。
「前の子が元気」と「次の妊娠」は必ずしも連動しない
まず知っておいていただきたいのは、上の子が元気だったかどうかと、次の妊娠での染色体異常の起こりやすさは、必ずしも連動しないということです。
多くのトリソミー(ダウン症候群など)は、その妊娠のときに偶発的に起こる染色体分配のエラーによるものです。前の妊娠が順調だったことは幸いですが、それが次の妊娠の「保証」になるわけではありません。逆に、一度経験したからといって、次も必ず起こるわけでもありません。
そして、偶発的なタイプでは、そのときどきの年齢に応じたリスクが基本になります(年齢とともに変わる染色体異常のリスク)。
「繰り返しやすいケース」と「そうでないケース」
偶発的なタイプ(多くの場合)
トリソミーの多くはこのタイプです。一度トリソミーの妊娠を経験すると、偶発的なタイプでも、次の妊娠での再発リスクがわずかに上乗せされると報告されています(年齢によるリスクに、小さな上乗せが加わるイメージです)。ただし、その上乗せは大きなものではないことが多いです。
遺伝が関わるタイプ(一部)
ご両親のどちらかが「均衡型転座」などを持っている場合は、再発リスクがより高くなることがあります。このタイプかどうかは、赤ちゃんやご両親の染色体を詳しく調べることで確認できます(染色体異常は親から子へ遺伝するのか)。
つまり、「繰り返しやすいかどうか」は、どのタイプの染色体異常だったかによって変わるのです。だからこそ、前回の結果のタイプを確認しておくことが、次を考えるうえで役立ちます。
「なぜ自分が」という気持ちについて
繰り返しへの不安の裏には、「自分に原因があったのでは」という思いが隠れていることがあります。しかし、偶発的なタイプは誰のせいでもなく、生活習慣で防げるものでもありません。ご自身を責める必要はまったくありません。
「なぜ自分が」という気持ちは、抱えて当然のものです。ひとりで抱え込まず、気持ちの整理も含めて相談していただけます。
次の妊娠に向けてできること
- 前回の染色体異常のタイプを確認する(偶発的か、転座などが関わるか)
- 必要に応じてご両親の染色体を調べる
- 次の妊娠での検査の選び方を、あらかじめ相談しておく
これらは、遺伝カウンセリングでおひとりずつの状況に合わせて整理できます(遺伝カウンセリングでわかること)。
まとめ
- 上の子が元気だったかどうかと、次のリスクは必ずしも連動しません。
- 偶発的なタイプでは、年齢に応じたリスクに小さな上乗せが加わる程度のことが多いです。
- 転座など遺伝が関わるタイプでは、再発リスクが高くなることがあります。
- 前回のタイプを確認し、遺伝カウンセリングで次の妊娠を具体的に考えていきましょう。
2人目・3人目の妊娠で検査を受ける意味については2人目・3人目の妊娠と出生前診断もあわせてご覧ください。
参考文献
- Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive Prenatal Screening (NIPS) for Fetal Chromosome Abnormalities in a General-Risk Population: An Evidence-Based Clinical Guideline of the ACMG. Genetics in Medicine. 2023.
- Rose NC, Kaimal AJ, Dugoff L, Norton ME. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities: ACOG Practice Bulletin, Number 226. Obstetrics & Gynecology. 2020;136(4):e48-e69.
本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。
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