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ひろつぐ出生前診断クリニック

INHERITANCE

染色体異常は親から子へ遺伝するのか — 「次の妊娠は大丈夫?」という問いへ

出生前診断の基礎

はじめに

出生前診断で染色体異常が見つかったとき、多くの方が「次の妊娠でも同じことが起こるのだろうか」と不安に思われます。この疑問にお答えするために、染色体異常がどのように起こるのか、そして次の妊娠への影響について、できるだけわかりやすくご説明します。

染色体の対を2つ並べ、片方は偶然の変化を表すきらめき、もう片方は親から子へ受け継がれる流れを矢印と親子の姿で表したイラスト。

染色体異常には2つのタイプがあります

染色体異常は、大きく分けて2つのタイプがあります。

1. 偶然起こる染色体異常(新生突然変異)

ほとんどの染色体異常は、親の染色体は正常であるにもかかわらず、卵子や精子が作られる過程、または受精後の初期段階で偶然起こります。これを「新生突然変異」や「de novo(デノボ)」と呼びます。

ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーなどの多くは、このタイプです。これらは親から受け継いだものではなく、たまたま起こった出来事です。

2. 親から受け継がれる染色体異常

一方で、親が「均衡型転座」という特殊な染色体の並び替えを持っている場合があります。親自身は健康ですが、卵子や精子を作る際に、染色体のバランスが崩れた状態で子どもに伝わることがあります。

次の妊娠での再発リスクはどのくらい?

ダウン症候群(21トリソミー)の場合

前回の妊娠でダウン症候群だった場合、次の妊娠での再発リスクは、年齢による通常のリスクの約2.2倍になります。ただし、これは「2.2倍」という数字だけを見ると高く感じるかもしれませんが、もともとのリスクが低い場合は、実際の確率は依然として低いことが多いです。

18トリソミーや13トリソミーの場合

18トリソミーの再発リスクは約3.1倍、13トリソミーは約9.5倍とされていますが、これらの染色体異常自体がまれであるため、実際の再発確率は依然として低い傾向にあります。

親が均衡型転座を持っている場合

親が均衡型転座を持っている場合、次の妊娠でのリスクは状況によって異なります。一般的に、すでに染色体異常のあるお子さんが生まれた後の場合、次の妊娠で染色体のバランスが崩れた赤ちゃんが生まれるリスクは5〜30%程度とされています。ただし、多くの研究では、均衡型転座を持つカップルでも、最終的には約70%の確率で健康な赤ちゃんを授かることができるとされています。

年齢との関係

35歳未満の方で前回の妊娠で染色体異常があった場合、35歳以上の方と比べて、相対的な再発リスクが高くなる傾向があります。これは、若い方の場合、年齢以外の要因(個人の体質など)が関係している可能性があるためです(年齢とリスクの一般的な関係は年齢とともに変わる染色体異常のリスクもご覧ください)。

大切なこと

  • ほとんどの染色体異常は偶然起こるもので、親から受け継がれるものではありません
  • 前回の妊娠で染色体異常があった場合でも、次の妊娠で必ず同じことが起こるわけではありません
  • 再発リスクは、染色体異常の種類、親の年齢、親の染色体検査の結果などによって異なります
  • 心配な場合は、遺伝カウンセリングを受けることで、ご自身の状況に合わせた詳しい情報を得ることができます(遺伝カウンセリングでわかること

おわりに

「次の妊娠は大丈夫?」という問いに対する答えは、一人ひとりの状況によって異なります。不安な気持ちを抱えながら次の妊娠を考えることは、とても大変なことです。医療者や遺伝カウンセラーと一緒に、ご自身の状況を理解し、納得のいく選択ができるようサポートを受けることをお勧めします。

繰り返しのリスクについては「前の子は元気だったのに」— 染色体異常が繰り返すケースとそうでないケース、次の妊娠での検査については2人目・3人目の妊娠と出生前診断もあわせてご覧ください。

参考文献

  1. De Souza E, Halliday J, Chan A, Bower C, Morris JK. Recurrence Risks for Trisomies 13, 18, and 21. American Journal of Medical Genetics. Part A. 2009;149A(12):2716-2722.
  2. Committee on Practice Bulletins—Obstetrics, Committee on Genetics, and Society for Maternal–Fetal Medicine. Practice Bulletin No. 162: Prenatal Diagnostic Testing for Genetic Disorders. Obstetrics and Gynecology. 2016;127(5):e108-e122.
  3. Li S, Zheng PS, Ma HM, et al. Systematic Review of Subsequent Pregnancy Outcomes in Couples With Parental Abnormal Chromosomal Karyotypes and Recurrent Pregnancy Loss. Fertility and Sterility. 2022;118(5):906-914.
  4. Zemet R, Van den Veyver IB, Stankiewicz P. Parental Mosaicism for Apparent De Novo Genetic Variants: Scope, Detection, and Counseling Challenges. Prenatal Diagnosis. 2022;42(7):811-821.
  5. Branch DW, Gibson M, Silver RM. Recurrent Miscarriage. The New England Journal of Medicine. 2010;363(18):1740-1747.

本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。

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最終更新日:2026年7月7日

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