「1人目のときは受けたけれど、今回はどうしよう」「上の子が元気だったから、今回は必要ないかな」——2人目・3人目の妊娠では、1人目とは違った迷いが生まれます。このコラムでは、その考え方を整理します。
「上の子が元気」でも、リスクはゼロにならない
まず大切な点として、上の子が元気に生まれたことは、次の妊娠での染色体異常のリスクをゼロにするものではありません。多くの染色体異常は、その妊娠のときに偶発的に起こるため、前回が順調だったことは「次の保証」にはならないのです(「前の子は元気だったのに」— 繰り返すケースとそうでないケース)。
とはいえ、これは「不安をあおる」ためのお話ではありません。正しく知っておくことで、落ち着いて選べるようになります。
年齢が上がっている分、リスクは変わる
1人目のときと比べて、2人目・3人目では、お母さんの年齢が上がっています。染色体異常の多くは年齢とともにリスクが変わるため、「前回と同じ」ではなく、今回の年齢に応じたリスクで考えることになります(年齢とともに変わる染色体異常のリスク)。
数年の違いでも、年齢によってはリスクの目安が変わることがあります。これも、今回あらためて考える理由のひとつです。
受ける・受けないは、今回もまた自由
染色体を調べる検査(NIPTなど)は任意です。これは何人目でも同じで、
- 前回受けたから、今回も受けなければいけないわけではありません
- 前回受けなかったから、今回も受けてはいけないわけでもありません
「今回はどうするか」を、あらためて考え直してよいのです。ご夫婦の状況や気持ちは、1人目のときから変わっていることもあります(出生前診断を受けるかどうか)。
上の子がいるからこその事情
2人目・3人目では、上の子の育児をしながらの妊娠という事情も加わります。
- 検査や通院のために時間を作れるか
- もし気になる結果が出たとき、上の子のケアをしながらどう対応するか
- 家族でどのように支え合うか
こうした生活面の事情も、立派な判断材料です。医学的なことだけでなく、暮らし全体を見て考えてかまいません。
迷ったときは
「上の子のときはこう考えたけれど、今回は気持ちが違う」——それはごく自然なことです。迷われたときは、前回の経験も踏まえて、遺伝カウンセリングで一緒に整理できます(遺伝カウンセリングでわかること)。検査の種類や時期についてはNIPTと初期ドック、どちらを選べばよいかもご覧ください。
まとめ
- 上の子が元気でも、次の妊娠のリスクはゼロにはなりません。
- 年齢が上がっている分、今回の年齢に応じたリスクで考えます。
- 受ける・受けないは今回もまた自由。前回にとらわれる必要はありません。
- 上の子のケアなど生活面の事情も、大切な判断材料です。
ご家族の状況に合わせて、いちばん納得できる選び方を一緒に考えます。どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
- Rose NC, Kaimal AJ, Dugoff L, Norton ME. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities: ACOG Practice Bulletin, Number 226. Obstetrics & Gynecology. 2020;136(4):e48-e69.
- Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive Prenatal Screening (NIPS) for Fetal Chromosome Abnormalities in a General-Risk Population: An Evidence-Based Clinical Guideline of the ACMG. Genetics in Medicine. 2023.
本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。
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