妊娠14週を過ぎると、「初期ドックの時期を逃してしまった」と心配される方がいらっしゃいます。でも、ご安心ください。14週を過ぎても、染色体異常や赤ちゃんの構造を調べる方法はあります。ここでは、今から受けられる検査の選択肢を整理してご説明します。
このページの役割:ここでは「今からどの検査を選べばよいか」を、早期ドック・NIPT・羊水検査・中期ドックの違いやスケジュール例とあわせて全体的に整理します。このうち「早期の超音波検査を受ける意義」(NTが測れなくても大丈夫な理由など)をくわしく知りたい方は、妊娠14週以降の早期超音波検査のご案内をあわせてご覧ください。初期ドックの時期を過ぎた方向けに「体の構造」と「染色体」をそろえて確認する受け方は、早期胎児ドック+NIPTにまとめています。
初期ドックと早期ドックの違い
初期ドック(妊娠11週0日〜13週6日)でできること
初期ドックは、妊娠11週0日から13週6日までの限られた期間にしか行えない特別な検査です。この時期には以下のことができます。
染色体異常のリスク評価
- 首のむくみ(NT:後頸部透明帯)の測定:この時期だけ正確に測定できる重要なマーカーです。
- 血液検査(PAPP-A、free β-hCG)との組み合わせ
- 鼻骨の確認
- 静脈管血流の評価
- 三尖弁逆流の有無
これらを総合的に評価することで、ダウン症候群などの染色体異常のリスクを計算できます。
赤ちゃんの構造の確認
- 重大な構造異常の約50%は、この時期に発見できます。
- 心臓・脳・腹部・手足などの基本的な構造を確認します。
早期ドック(妊娠14週0日以降、18週0日未満)でできること
妊娠14週0日以降は、初期ドックで使える染色体異常のマーカー(特にNT)が正確に測定できなくなります。当院の早期ドックでは、次のことを行います。
赤ちゃんの構造の確認
- 胎児の体の構造を詳しく観察します。
- 心臓・脳・顔・腹部・手足・背骨などを確認します。
- ただし、まだ赤ちゃんが小さいため、中期ドック(18週以降)ほど詳しくは見えません。
染色体異常のリスク評価はできません
- NTなどの初期ドック特有のマーカーは測定できません。
- 構造異常が見つかった場合は、染色体異常の可能性も考慮する必要があります。
染色体が心配な場合の選択肢
妊娠14週を過ぎてしまった場合でも、染色体異常を調べる方法はあります。
1. NIPT(新型出生前診断)
どんな検査?
- お母さんの血液を採取するだけの検査です。
- 赤ちゃんに直接触れないので、流産のリスクはありません。
- 妊娠10週以降であればいつでも受けられます。
何がわかる?
- ダウン症候群(21トリソミー):検出率99.7%
- 18トリソミー:検出率97.9%
- 13トリソミー:検出率99.0%
結果が出るまで:約1〜2週間
大切なこと
- NIPTは「スクリーニング検査」です。陽性の場合は、確定診断のために羊水検査が必要です。
- 陰性の場合、染色体異常の可能性は非常に低くなります(陰性的中率99%以上)。
2. クアトロテスト → NIPT(段階的スクリーニング)
どんな検査?
- まず採血のクアトロテスト(母体血清マーカー検査)でリスクを評価し、ハイリスクと判定された方だけNIPTに進む、2段階の方法です。費用を抑えたい方に向いています。
- クアトロテストは妊娠15週0日〜16週6日に受けられます。当院では結果が翌日に判明します。
何がわかる?
- クアトロテスト:ダウン症(21トリソミー)・18トリソミー・神経管閉鎖不全のリスク(検出率 約70〜75%)。13トリソミーは対象外です。
- ハイリスクの方はNIPTへ進み、より高い精度で評価します(段階的スクリーニング全体の検出率 約91〜95%)。
大切なこと
- スクリーニング検査です。NIPTが陽性の場合は、基幹施設(大阪公立大学附属病院)へご紹介し、羊水検査による確定診断へとつなぎます。
▶ 妊娠14週以降のダウン症スクリーニング(NIPT単独/クアトロ→NIPTの比較)を詳しく見る
3. 羊水検査
どんな検査?
- お腹に細い針を刺して、羊水を少量採取します。
- 超音波で赤ちゃんの位置を確認しながら行います。
- 妊娠15週以降に行えます。
何がわかる?
- すべての染色体異常を確定診断できます。
- ダウン症候群・18トリソミー・13トリソミーだけでなく、その他の染色体異常も診断できます。
- 診断精度は99%以上です。
結果が出るまで:約2週間(検査方法によって異なります)
リスク:流産のリスク 約0.1〜0.3%(300〜1,000人に1人程度)
どんな方に勧められる?
- NIPTで陽性だった方(NIPT基幹施設に紹介になります)
- 超音波検査で異常が見つかった方
- 確定診断を希望される方
どの検査を選べばいいですか?
染色体異常が心配な場合
まずNIPTを受けることをお勧めします。
- 流産のリスクがありません。
- 非常に高い精度で主要な染色体異常を調べられます。
- 陰性であれば、それ以上の検査は通常必要ありません。
NIPTが陽性だった場合は、羊水検査(確定検査)で確定診断を行います。
最初から確定診断を希望される場合は、羊水検査を選ぶこともできます。ただし、わずかですが流産のリスクがあることを理解しておく必要があります。
赤ちゃんの構造が心配な場合
- 早めに赤ちゃんの構造を確認できます。
- ただし、まだ小さいため、すべての異常が見つかるわけではありません。
- 赤ちゃんの構造を最も詳しく観察できる時期です。
- 心臓の詳しい検査(胎児心エコー)も含まれます。
- 構造異常の検出率が最も高くなります。
検査のスケジュール例
パターン1:NIPTを受ける場合
- 今すぐ:NIPTの血液検査を受ける
- 1〜2週間後:NIPT結果を確認
- 妊娠18〜22週:中期ドック(詳しい超音波検査)
パターン2:早期ドックとNIPTを両方受ける場合
- 今すぐ:早期ドック(構造スクリーニング)とNIPTの血液検査
- 1〜2週間後:NIPT結果を確認
- 妊娠18〜22週:中期ドック(詳しい超音波検査)
パターン3:羊水検査を希望する場合
- 妊娠15週以降:羊水検査
- 約2週間後:結果を確認
- 妊娠18〜22週:中期ドック(詳しい超音波検査)
大切なこと
- 妊娠14週を過ぎても、染色体異常を調べる方法はあります。初期ドックの時期を逃してしまったからといって、諦める必要はありません。
- NIPTは妊娠10週以降いつでも受けられます。初期ドックの時期を過ぎていても問題ありません。
- 赤ちゃんの構造を詳しく見るには、妊娠18〜22週の中期ドックが最適です。早期ドックで見えにくかったことも、この時期にははっきりわかります。
- どの検査を選ぶかは、あなたとご家族の希望によって決まります。担当医とよく相談して、納得のいく選択をしてください。
早期ドック(14〜16週)を受けるか、妊娠18〜22週の中期ドックまで待つかで迷われている方は、NT測定に間に合わなかったとき — 早期ドックを受けるか、中期ドックまで待つかもあわせてご覧ください。
ご質問があれば
検査の選択について、わからないことや心配なことがあれば、いつでも担当医にお尋ねください。一緒に最善の方法を考えていきましょう。
参考文献
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本コラムは、出生前診断について理解を深めていただくための一般的な情報提供を目的としています。検査の適応や結果の解釈は、妊娠週数やお一人ひとりの状況によって異なります。具体的なご相談は、外来で医師・専門スタッフへお気軽にお声がけください。
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